企業損害と賠償

会社の代表者が交通事故で受傷した場合、代表者個人ではない会社が個人に対し、会社の売り上げ減少などの営業上の損害を請求できるか、というのが企業損害の問題である。

賠償請求権者は直接の被害者に限定する必要はなく、事故と損害の間に相当因果関係があれば会社からの請求を認めては良いのではないかという考え方と、不法行為や自賠法三条による損害賠償を請求できるものは直接の被害者に限定されていると解釈し、原則として会社の賠償請求は認められないとする考え方がある。しかし、この場合でも、会社イコール代表者というように、会社と代表者が経済的一体関係ないしは財布共通の関係が認められる場合には、会社からの請求が認められると考えられる。多くの裁判所は、会社の代表者や重要な社員が交通事故により負傷し、会社に損害が出たとの請求に対し、それを否定している。