どうして被害者にも過失があると減額されるのか

交通事故は、加害者の過失が原因となって起こるケースが多いが、被害者にも過失があったというケースも少なくない。例えば、酒に酔った被害者が急に道路に飛び出してきたため、加害車両がこれを避けきれずに死亡させてしまった、というようなケースだ。

このように加害者ばかりではなく、被害者にも過失があり、それが事故発生の原因となっているのに、事故による損害賠償責任を加害者だけに負わせるのは、公平の見地から言っても妥当ではない。そこで、加害者の過失と被害者の過失の割合に応じて、交通事故では損害賠償責任を負担させることにしている。これが過失相殺だ。

たとえば、交通事故による損害額が100万円の場合、その事故発生について、加害者の過失が7割、被害者の過失が3割あったとすると、被害者が請求できる損害額は、100万円の7割の70万円という事になる。これが過失相殺による減額である。