事故の態様を明らかにするために刑事裁判記録が利用される

交通事故にあった被害者のところへ示談交渉に来るのは、ほとんどの場合、任意保険会社の代理人。そして、任意保険会社側では、追突事故のように被害者が100%無過失ではない限り、必ずと言ってよいほど過失相殺の主張をしてくる。

被害者側で主張する過失割合と保険会社の主張してくる過失割合が大幅に異なり、歩み寄る余地がない場合には、裁判で決めてもらうしかない。

では、裁判の場においては、過失相殺を、どのようにして、どの程度斟酌するかは、裁判官の自由裁量に任されており、また条文の規定も「被害者に過失があったときは、裁判所は損害賠償の額を定めるについてその過失を斟酌する事ができる」(民法七二二条一項)となっており、被害者の過失を斟酌しないのも自由とされている。なので、損害賠償請求の裁判で過失相殺を争う場合には、過失の割合を明確にするための証拠が大きな意味を持っている。

一般に、損害賠償訴訟で過失割合を巡る判断が争点になっている場合に、必ず利用されるのが、交通事故の刑事裁判の記録。