過失割合認定基準表が制定された背景は

交通事故の損害賠償訴訟において、過失相殺を斟酌するかどうか、あるいはどの程度斟酌するかは、裁判官の自由裁量に委ねられており、またどの程度斟酌したかを判決文で説明する必要もないとされている。

そのために、同じような態様の事故についても、裁判官によって大きな差が出ることが珍しいことではなかった、それに、どの程度の過失相殺がなされてるのか予想することも困難で、過失相殺が争点になると、証拠調べに必要以上に時間をかけなければならかった。

このような不合理をなくすために、昭和四四年一月に、東京地裁の倉田・福永の両裁判官が過去の裁判例や道路交通法の規定する優先権の有無、事故予防の可能性などを検討して「自動車事故における過失割合の認定基準」を公表し、全国の裁判所でも利用された。